1950年の同名の映画を題材にした幽玄なアンビエント作品。ピントが次第に外れていく映像のように、不穏なフレーズが時間をかけゆっくりと溶けていきます。Tape Loop Orchestraとしては初のアナログ盤で、TLOサウンドの真髄といえる音の豊かさが際立ちます。
「世界で最も小さなオーケストラだ。」とはAndrew Hargreavesが2012年のTape Loop Orchestra来日公演の冒頭に語った言葉。生音と電子音を絶妙に融合させたthe boatsやAndrew Hargreavesソロ作品に対し、カセットウォークマンのテープループとラップトップを用い、長い尺の中に溶解、堆積、醸成していく有機的なアンビエント/ドローンサウンドがTape Loop Orchestraの特徴です。一曲もしくはアルバム一枚をカセットテープ片面の収録時間である45分きっかりに収めるという徹底ぶりは実験的であるとともに美しさを感じます。
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