2014年の30枚。コメントは単に書いた順です。
Dakota Suite & Quentin Sirjacq – There Is Calm to Be Done
生きていくという事は悲しみと向き合うことだ。『Waiting For The Dawn To Crawl Through And Take Away Your Life (2007)』以降の虚無と絶望に満ちた作品群と比べるとかなり慈愛溢れる作品。少し柔らかくなったクリスの唄ものとインストが半々の構成。Quentinのピアノも馴染んできた。#slowcore, piano, classical
iamthemorning – Belighted
ロシア在住のiamthemorningの2ndアルバム。澄んだ女性ボーカルと力強いピアノのチェンバー・ロック。プログレのような側面も。#chamber-rock, piano
Joan Cambon – Reshaping The Seasons For Kaori’s Body
ヴィヴァルディの『四季』を分解再構築したものだが原型はほぼ止めていない。マックス・リヒターによるヴィヴァルデイ『四季』”Recomposed”と比べてもかなりアヴァンギャルドでおどろおどろしい。アルバムタイトルの通り身体の部分をモチーフにした楽曲が並ぶ。4曲目”Mouth”の断片的な日本語の朗読が印象的。元は日本人ダンサーKaori Ito氏のコンテンポラリーダンスの為に制作されたもののようだ。#experimental, classical
Ilya Beshevli – Night Forest
ロシア人ピアニストIlya Beshevliの作品。凛としたピアノソロを基本にストリングスが入るものが数曲ある。ロシアという国はやはり文化圏が違うのか近年の欧米のモダンクラシカル系の作品にはない独特のメロディラインの美しさがある。 #piano
Carlos Cipa – All Your Life You Walk
若さと勢いの前作を踏襲しつつ行間を魅せる技術も加わったCarlos Cipaの成熟が見られる一枚。#piano
Otto A Totland – Pinô
今年来日公演も果たしたOtto A Totland初のソロアルバム。2mの巨漢と裏腹のメランコリックなピアノはたちまち部屋に溶けていく。#piano
Erik K Skodvin – Flame
Sonic Piecesより『Flare』に続くErik K Skodvinのソロ。ピアノとギター、静かに打つパーカッション。不穏なストリングスとクラリネット。暗闇に浮かぶ炎は光と影を生み出す。#experimental
Deaf Center – Oblivion
Erik K SkodvinとOtto A Totlandの幼馴染コンビDeaf CenterのライブレコーディングがSonic Piecesから。一曲13分強、異なる時期に録音されたチルアウト色の強いライブインプロビゼーションを2曲収録。PETTERNというSonic Piecesの新しいシリーズと銘打っておいて数年前の録音なのは少し残念だが、楽曲のクオリティは高く、記録としての価値もある。それぞれのソロを経た今のDeaf Centerの音も聴いてみたい。#ambient, chill
Andrea Belfi – Natura Morta
MiasmahレーベルよりB/B/Sのメンバーの一人としても活動するパーカッショニストAndrea Belfiのソロ。曲目こそ分かれているがそれぞれA面、B面で途切れず続く。速く緊張感のあるパーカッションと地を這う呪術的なシンセウェーブが絶妙に絡む。#experimental
Shivers – S/T
Miasmahレーベルより電子音楽家Machinefabriek, クラリネット奏者Gareth Davis、パーカッショニストLeo Fabriekのトリオ。Shiversという名はデヴィッド・クローネンバーグの70年代のパニックホラー映画にちなんでいる。音もまさにイメージぴったりのMiasmahレーベルど真ん中の暗黒舞踏曲。#experimental, electronic
Keaton Henson – Romantic Works
シンガーソングライターKeaton HensonのピアノとRen Fordのチェロによるインスト盤。リンク先の映像の楽屋裏での彼の神経質そうな素振りを見るだけで何もかも信頼できると思う。内省的だが時に感情が溢れ出る瞬間聴く者の心を揺さぶる名盤。#piano, classical
Aaron Martin – Chapel Floor
カセットテープ作品。乾いたチェロを主軸に音数を絞った瞑想的な曲が並ぶ。#ambient, chill, classical
Gonzales – Re-Introduction Etudes
カナダの鬼才Chilly Gonzalesの楽譜付きピアノ小曲集。子供の頃ピアノ教室で習ったバイエルやツェルニー、なるほど楽譜を読んだり指を動かす訓練にはなるだろうが、弾くにはあまりに退屈ではなかっただろうか。楽譜には少しのピアノ経験のあれば簡単に弾くことができるピアノ小曲が24曲収録。シンプルでいてGonzalesのエッセンスがしっかり詰まっている。#piano
Octave Minds – S/T
Chilly GonzalesとBoys Noizeによるコラボプロジェクト。Gonzalesのソロピアノシリーズのような音を求めて聴くと椅子から転げ落ちそうになるが、それが杞憂なのはすぐに分かる。ポップでパワフルなピアノ・ディスコ・アンセムの傑作。 #pop, electronic, piano
Orcas – Yearling
アンビエント・アーティストRafael Anton Irisarriとエクスペリメンタル・フォーク・シンガーBenoît PioulardのユニットOrcasの2nd。深いリバーブとBenoît Pioulardの透明感のあるヴォーカルは健在。前作よりバンドサウンド寄りになったシンプルな曲調で聴きやすいドリームポップ。#dreampop
Christopher Willits – OPENING
音と映像で地球を巡る45分間のサウンドスケープ。国内盤にはDVDも付属するが映像はWeb上でも公開されている。本作を大きくフィーチャーすると思われる単独来日公演が2015年1月末に開催される。#ambient
Lubomyr Melnyk – Evertina
一年の節目や別れの季節に聴きたい切ないピアノEP。#piano
Kiasmos – S/T
今年の来日公演が印象的だったアイスランドの若手気鋭Ólafur Arnaldsと、フェロー諸島出身のJanus Rasmussenによる北大西洋ユニットの1stアルバム。ミニマルテクノにピアノやストリングスがレイヤーされるジェントルなダンスミュージック。ポストクラシカルなサウンドにドラムマシンを積極的に組み合わせてきたÓlafur Arnaldsがフロア向けの音楽に向かうことは自然なことだ。1stが出たばかりで気が早いが今後の作品が気になる注目のユニット。#electronic, classical
Beppu – Post Content
The Boats, Tape Loop Orchestra, The Mistysなど多彩な作風でハイペースなリリースを続けるAndrew HargreavesのインダストリアルプロジェクトBeppuのカセットテープ作品。ゴリゴリノイジーなインダストリアル。手軽にアナログサウンドを聴けるとあってレコードに続きカセットテープが復権してきているのも頷ける。#industrial
Douglas Dare – Whelm
Erased Tapesより新星Douglas Dareの1stフルアルバム。哀愁あるピアノとそれを支える電気的なビート。そして何よりも唄声が素晴らしい。#ssw, electronic, piano
Matthew Collings – Silence Is a Rhythm Too
Denovali Recordsより前作『Splintered Instruments』のリイシューと共に発表されたMatthew Collingsの新作。前作はポストロック・シューゲイズ的な音作りだったが、本作は現代音楽寄りのダークなアンビエントサウンド。#experimental, ambient, classical
Sophie Hutchings – White Light
BandcampにてName Your Priceで配信されているピアノミニアルバム。ファイルサイズが大きいと思ったら24bit/48kHzのようだ。内なる情熱を秘めた静かな佇まい。#piano
Lawrence English – Wilderness Of Mirrors
アブストラクトで重層的なアンビエント・サウンドスケープ。#ambient
Loscil – Sea Island
krankyよりLoscilの新作。アンビエントな作りに微かなビートの絶妙なバランス。#electronic
Thom Yorke – Tomorrow’s Modern Boxes
突如リリースされたソロ新作。Thom Yorkeの音楽的探究心は留まることを知らない。#alternative, electronic
A Winged Victory For The Sullen – Atomos
Dustin O’HalloranとStars of the LidのAdam WiltzieによるA Winged Victory For The Sullenの2ndアルバム。コンテンポラリーダンスのスコアとして制作が始まり、荘厳なストリングスにエレクトロニックの要素を取り入れた本作は、ポストクラシカルを新しいステージに導こうとするものである。#classical, electronic
Peter Broderick – (Colours of the Night) Satellite – EP
来年出るアルバムの先行EP。MVも見て欲しい。ピアノやヴァイオリンが無くたっていい。無垢に音楽に向き合う姿に心揺さぶられるのである。#folk-rock
Grouper – Ruins
Grouperのいつものギターやシンセを用いた霞みがかったはドローンはアルバムの最後に一曲あるだけで、Liz Harrisの消え入りそうな唄声によるピアノ弾き語りが中心。#folk, ambient, piano
No BS! Brass Band – Audiotree Live
ジャズ枠。ブラスがウーハーを震わせればそれが正義である。スタジオアルバムよりもライブレコーディングの方が遥かに良い。#jazz-funk, brass-band
STARDUST REVUE – Stage Bright ~A Cappella & Acoustic Live~
スタレビのライブ盤にはずれ無し。観客にコーラスを歌わせるのはスタレビのライブではお馴染みの光景だが、特にマシュ・ケ・ナダのアカペラパフォーマンスは圧巻。
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